旅人には何故ビリーバーが多いのか?懐疑論者のすすめ。
2019/06/06
「ビリーバー」って単語を知ってますか?
英語の Believe からきていて、簡単にいえば特定の物事に関して無批判に鵜呑みにしてしまう人のこと。
ニュアンスとしてはちょっぴり否定的な意味合いが込められてます。
「懐疑論者」は懐疑主義とも言って本来は哲学用語。
ここでの意味合いとしては物事を鵜呑みにせず、盲信せず、冷静に検証して結果を見つめられるような人とします。
そう。ビリーバーと懐疑論者、ようは正反対ってわけです。
ではなぜ旅人にはビリーバーが多いのか?このページではそれを考えてみます。
旅人とビリーバーの親和性
僕は旅が好きです。どれぐらい好きかっていうと、旅の無い人生は一切考えられないぐらい。
過去にはヒッチハイクでニュージーランドを一周したり、パタゴニアを徒歩で最南端まで歩いてみたり、自転車でヨーロッパを縦断したり。
もちろん日本国内でも、半年以上かけてすべての都道府県をヒッチで回り、その後も休みを作っては様々な離島に行き、その先々でたくさんの地元の人、そして旅人と会ってきました。
その中で感じたのは、特にバックパッカー系の旅人にビリーバーな人が多いこと。
例えばスピリチュアル系統。超能力とか予言とか占いとか、信じてる人が結構いるんですよね。
もともと旅人っていうのは僕も含めて非日常を好むタイプの人間が多い(だから旅に出る)んで、そういう意味ではこれら超常的な物を信じてしまう下地が普通の人よりあるのは当然です。
実際に僕も子供の頃は超能力やUFO、オーパーツの話なんかが大好きで、その手の本をワクワクしながら読んでました。
それが成長する過程で世の中にはたくさんのウソがあることを学び、そういった超常現象や心霊現象に関する話も徐々に冷静に見られるようになっていきました。
でも「確かに99%はウソかもしれないけど、残り1%の可能性を否定できない以上僕は信じるよ」って人いますよね?これがスピリチュアルを信じるビリーバーな人です。
そんな人にぜひ一度読んでもらいたいのが次のサイト。
懐疑論者とは
これらは懐疑論者によって書かれたサイトで、終末予言や心霊現象、マヤ文明の水晶ドクロ、ピリ・レイスの地図、100匹目の猿、パレンケの石棺、FBIの捜査に協力していると言われる超能力者などなど、僕の好奇心をくすぐり続けていた面白そうな話の本当のところを、現地の一次資料に当たりながら解明していくスタイル。
次々とページを読み進め、そして理解したのは「この手の話はウソも沢山混じってる…どころじゃなく、ことごとくウソ」だっていうこと。
もちろん上記のサイトに書いてあることだって何でもかんでも鵜呑みにはできない。
ただ読んでいくと、各項とも非常にしっかりと取材して書かれたものであることは分かる。
例えば「100匹目の猿」の話の場合はこうだ。
100匹目の猿
宮崎県のとある島に住む猿のうちの一匹がある時「芋を海で洗う」という行動をするようになった。
この行為は島の他の猿たちに少しずつ広まっていったが、それがある一定数(仮に100匹)に達した瞬間、島のほぼ全ての猿たちが同じく芋を海で洗うようになり、しかもなんとそれは海で隔てられた他の島の猿たちにも広がった…!
っていうのが100匹目の猿の話で、「それなら私たち人類だって…本気で平和を願う人が増え、それが一定数に達したら世界をガラリと変えられるんじゃないか?」なんてこの手の話が好きな人たちの間で言われてました。
…ところが。
実は根拠となる「猿による芋洗い行動の爆発的な伝播」それ自体が作り話だった。
なんだそりゃ!?ってなるでしょ?
でもこれは猿の研究(島の猿を観察していたのは本当)をしていたのが京大の教授だったり、この話を取り上げた本がベストセラーになったことでハクが付いて、不思議な話だとは思っても何となく信じる人が多かった。
実際どういうことだったのかについてはこちらを読んでもらうと手っ取り早いんだけど、要するにどれだけ偉い人の有名な話でも、鵜呑みにするのは間違いの元ってこと。
これはテレビや新聞その他のメディア全体にも言えることで、どんな大手メディアだって間違えることはもちろんあるし、時には意図的に話を創作することすらある。
「新聞 嘘」「テレビ 嘘」とかその辺りの単語でググるといくらでも実例が出てくるんだけど、それはまた別のお話。
金儲けの為ならここまでやる
この手のウソが吐かれる理由って、結局はウソを吐くことで何らかのメリットが発生するからなんだけど、一番多いのはビジネス、つまりお金の為にウソを吐くケース。
ダイレクトにお金になるから吐かれるウソもあれば、有名になって間接的に利益を生むためのウソもあります。
例えばこれも上記のサイトで紹介されていた本なんだけど…
「われわれ霊能者はいかにしてイカサマを行い、大金を稼ぎ、客をレ○プしていたか?」っていう、ちょっと長いけど衝撃的な副題が付いてます。
これはアメリカの元有名霊能者ラマー・キーンによる霊能業界の内部告発本。
自称霊能者たちはインターネットが普及する遥か以前から世界的なネットワークを貼り巡らせ、恐ろしいほど詳細にカモとなる人間の情報を交換し合っていることだったり、ターゲットに本物の霊能力者と思わせるためにスリを雇ってあらかじめ免許証をスラせておく(そして様々な個人情報を当ててみせる)などの手口が赤裸々に書かれています。
一般人からすれば「そんな、まさかそこまで…!?」と思う以上のことを当たり前にやっているのも、大金が動くビジネスと考えれば納得。
狂信者症候群
この本の内容で特に衝撃的なのが、狂信者症候群(true believer syndrome)。
なんと「騙していた張本人(この場合ラマ―・キーン自身)が全部ウソだったと告白しているのにもかかわらず、それを認知することができずにその後もウソの内容を信じ続けてしまう」という驚くべきケースが報告されています。
ちょっとすぐには信じられないような話だけれど、似たようなケースはちょくちょくあります。
例えば最近エベレストで亡くなった登山家(?)の栗城史多氏を応援していた人たち。
栗城氏は単独で酸素ボンベも無しで登頂する!と公言していたけど、実際には何人ものシェルパを帯同させ酸素ボンベも持って行っていたし、冒険を共有する約束で資金を集めておきながらその情報の多くを隠すような行為をしていた。
彼自身はこれを認めていないものの、上記のような事実は彼に注目していた多くの人たちによって検証・確認されていて、だからこそ栗城氏は強い批判も浴びていたわけだけど、彼を応援していた人たちの多くはそのウソの部分を認識しようとはしなかった。
あれだけの批判が一切耳に届いていないはずはなく、誰もがインターネットを使える今、ちょっと検索すれば分かることなのに。
他にはつい先日「美術館を建てるために3億円の借金をしました!」と言って自身のフォロワーに返済のための資金提供を求めた芸人(もはや芸人なのか?)の西野亮廣氏にお金を振り込んじゃう人たちもそう。
実際には借金していなかったので「悪質な詐欺じゃないのか」と批判を浴びてますが、それでも事実関係にはひたすら目を瞑ってビリーブし続ける人は必ずいます。
これらに共通するのは、たくさんの証拠が揃うなどして都合の悪い事実が明白になったとしても、ビリーバーな人たちはその事実をあえて見ようとはせず、それでも自分は彼の掲げる理想を応援してるから…なんて抽象的な言葉でもって支持し続けます。
根底には「否定することは良くないこと」で「肯定することこそ良いこと」という思想があるようで、ある意味純粋な、ピュアな人がビリーバーになる傾向が強い。
ただそうやって何でもかんでも肯定してしまうことで、中身は無く口だけなんだけどパフォーマンスは上手みたいな人にばかり注目が集まり、パフォーマンスは下手だけれども真摯に実直に努力している人が相対的に埋もれてしまうことに僕はモヤモヤしています。
「旅人には何故ビリーバーが多いのか?」っていう話に始まり、だいぶいろいろと書き連ねてきましたが、懐疑的な目を持つことはけして悪いことじゃなく、むしろ正しい判断をするために必要な、大切なことだと僕は思います。
皆さんはどう思いますか?
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