ティラナ郊外にある巨大トーチカ!バンクアートを見学する。
2018/08/31
見どころが少ないと言われがちな首都ティラナ。現地の人におすすめされた「バンクアート」に行ってみた。
冷戦時に造られた地下壕らしいんだけど、いったいどんな物が見られるのか…?
バンクアート1
そもそもバンクアート(BUNK'ART)とは、「Bunker」と「Art」を組み合わせた造語。今のところ1と2があるんだけれど、規模的にも歴史的意味合いでも見るべきは「1」の方。
この地下壕は政府要人用として丘の裾野に6年の歳月を掛けて掘られたもので、アルバニア国内に造られた50万とも70万とも言われるトーチカの中でも最大のもの。
分厚いコンクリートで囲まれたそれは核シェルターにもなっている。
場所はティラナの郊外。街の中心部から東に歩いて徒歩で一時間はかかるので、歩きたくない場合はバスやレンタサイクル、タクシーなどで。
ちなみに僕が訪れた2016年の時点では、まだバンクアートのことを(旅行者向けに公開してることを)知らない地元民も多かったので、道を聞く時は知ってる人に出会うまで諦めないこと。
内部潜入
見つけるのに結構手間取ったが、バンクアートを示す標識をやっと発見。
パイプ椅子に座っていた警備員のおじさんによると、このトンネルを抜けた先にあるらしい。
真っすぐに伸びるトンネルを進む。
出てちょっと行くと対人のチケット売り場があるので、入場料500L(≒500円)をそこで支払い。
そしてやってきたバンクアートの入口。
小さな入口を潜るとまず全体図のパネルがあった。
核攻撃まで想定して造られたであろう分厚いコンクリートの扉。
内部は矢印などでルートが示されている。
中は細い通路に沿っていくつもの部屋がある構造になっている。軍の施設だから扉は鉄格子。
そして最初に向かったのはお偉いさん用の居室。
取り次ぎの武官が詰めていたであろう小部屋を過ぎると、
独裁者ホッジャのための執務室。
たいして広くはないが、雰囲気はさすがに立派。
執務室の手前に置かれていたボックスには漢字で「空気再生装置」と書かれている。
一瞬「日本製?」と思ったが、上の紅い星は共産主義を示すマーク。つまりこれは中国製。
冷戦中の一時期、アルバニアはソ連と決別して中国寄りだったからだろう。
執務室の先にあった寝室には推定キングサイズの立派なベッドが置かれていた。
ここで行き止まりだったので、戻ってまた別の通路へ。
耐毒ガスの防護服。
この造形が禍々しく見えるのは人間の本能的な物なのか。
こちらも中国製、移動式砲車の図解など。
階段で地下へ降りる。その壁には行進する戦車の映像が映され、音が響いていた。
ある部屋にはお隣りユーゴスラビアの指導者、チトー関連の書類のようなものが貼られていた。
外部との通信のための部屋か。様々な機器が置かれている。
ちなみに僕が行った時、他の入場者は欧米系観光客が2組のみ。
下士官(人形)の部屋。簡素なパイプベッドだけど、限られた地下空間で二段ベッドでないんだから贅沢な方だ。
大きなテーブルが置かれた会議室。
昔の小学校の様子も再現。人形が雑でちょっと怖い。
各地に残されたトーチカの写真もあった。
そろそろ出口が近付いてきた。
ここでは「BUNK'shop」「BUNK'food」と書かれた看板が目に入ったが、スタッフは見当たらず。週末やイベント時ならいるのかも。
ステージのある広めの空間。
公式サイトを見る限り、ここでたまにイベントをやったりもするらしい。
以上がバンクアート1内部の様子。
実際の戦争は起きなかったので冷戦の遺物になったけど、それでも十分独特の雰囲気は伝わってきました。
アルバニア国内に他にも無数にあるトーチカ。中には改装してホテルにしようとしてる物もあるそうです。
アクセス
住所:Street Fadil Deliu (near the cable car) Tirana, Albania
バスで行く場合
スカンデルベグ広場の脇にある時計塔の近く、看板に「Linzë」(リンザ)と書かれたバス停(書かれているのは行き先)からバスに乗って、ドライバーに「BUNK'ART 1」(バンクアートワン)に行きたいと告げればOK。
なるべくドライバーの近くにいるようにしておけば、降りるタイミングを教えてくれます。
その他の手段
レンタサイクル、タクシー、徒歩など。
街の中心部からの距離は約4~5km前後。僕は一時間歩いて行きました。
バンクアート2
ちなみにバンクアート2は街の中心、スカンデルベグ広場のすぐそば。広場を挟んで国立歴史博物館の対角線にあります。
住所:Street Abdi Toptani, Tirana, Albania
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