はちみつに賞味期限はない?15年前の「黒い蜂の巣」を食べてみた。
2019/02/02
賞味期限が切れたハチミツの使い道を探してる人いませんか?
そもそもハチミツってどれぐらい保存できるのか?賞味期限を過ぎると食べられないのか?
今回はそれらの解説の後に、実際に僕自身が15年間常温保存されていた蜂蜜を食べることで実体験に基づいたリアルな答えを出してみたいと思います。
はちみつの賞味期限
ハチミツにも賞味期限があります。2年とか3年とか国や地域の法律によって期間の違いはあるけれど、普通は容器に印字されています。
けれど、それはあくまで法律上、食品には賞味期限を設けないといけないというルールがあるから。
実際ハチミツは半永久保存食と言われるほど保存できる期間が長く、約3300年前のエジプトの遺跡から出てきたハチミツでさえ食べることができた…という逸話が有名です。
だけど実はこれ、20世紀初頭にセオドア・M・デイビスというアメリカの有名な考古学者が「エジプトの王家の谷を発掘中に蜂蜜のようなも液状のものを発見した」という話を日本の養蜂家が自著で紹介してから広まったもの。
実際には蜂蜜ではなかったようですが、そんな話がまことしやかに語られるほどハチミツの保存性が高いのは本当です。
ハチミツは一般的に糖度が80%程と非常に高く、水分が少ない。そのため浸透圧の働きによって腐敗菌は繁殖することができません。菌が繁殖できないから、いつまで経っても腐らないってわけです。
つまり見かけ上の賞味期限が切れても普通に食べて大丈夫なんですが、心配な人は加熱する料理などに砂糖の代わりとして入れるのもあり。
一般的な砂糖と比べてカロリーは20%前後低いし、味に深みも出るのでおすすめです。
はちみつの変化について
結晶化
温度が低くなると白く結晶化するのは、ハチミツの主成分の1つであるブドウ糖の特性。
14℃~5℃くらいで固まることが多いですが、マイナス18℃以下なると逆に結晶化しなくなります。
結晶化してしまった場合は45℃前後のお湯でゆっくりと湯煎してやることでまた液体に戻ります。溶けきらずに結晶の一部が残っている場合、それを核に再び結晶化します。
急激に温めると瓶が割れたり風味が損なわれる原因になるので注意。
保存する場合は冷蔵庫には入れず、直射日光が当たらない暗所での常温保存が適しています。
黒くなった
紅茶に入れると黒くなるのはハチミツに含まれる鉄分と紅茶に含まれるタンニンとが結合するから。
またハチミツは熱が加わったりすることで色が黒くなることもあるけれど、品質に問題がでるわけじゃないのでそのまま食べても大丈夫。
溢れてきた
未開封で密閉されていたはずの容器からハチミツが溢れ出してきた。
こんな経験ありませんか?
知恵袋なんかを見ると「容器にどこか穴でも開いてたんじゃないか?」なんて回答が多かったですが、未開封のなんら異常の無い容器でもハチミツは溢れます。
これは内部からの発酵作用が原因です。
例えば、未開封とはいえ容器の密閉性が完璧ではない場合…よくあるのは蓋がプラスチック製の場合。
実はプラスチックって本当に微量だけど水蒸気を通すので、長期間置いておくと段々と空気中の水分がハチミツ側に移動します。
するとハチミツの水分保有量が上がることで元々含まれている眠っていた酵母が動き出し、発酵が始まります。糖は発酵するとアルコールと炭酸ガスが発生するので、そのガスの圧力で容器に隙間が生まれ、漏れ出してくるようです。
ちなみに僕は、ガラスの瓶入りとプラスチック容器入りのどちらでも、未開封のハチミツが知らないうちに溢れていたというこの現象を経験したことがあります。蓋は両方ともプラスチックでした。
黒く変色した古い蜂の巣を食べてみた
今回食べるのはこれ。
マヌカハニーで有名なニュージーランド産のハチミツ、蜂の巣ごとです。
15年間ずっと常温保存されていたもので、意図して開封はされていないんですが発酵の影響で中の蜜が溢れ出していました。
ハチミツを長期保存する際は、万一溢れ出しても大丈夫なように元々の容器ごとビニール袋など捨ててもいい別の物に入れておくことをおすすめします。
…はい、それじゃあいきましょう!
なかなか年季の入ったルックス。
中のハチミツが溢れたせいか縁に焦げたような色が付いてます。
まずはこれを開けてみよう。
開封
バアァァァン!!
これが蜂の巣。四角くカットされたものがギッチリ入っています。
日本ではあまり一般的じゃないですよね。
容器から取り出してみました。
縁に付いているハチミツに粘液状の部分(右)と結晶して固形化している部分(左)が見られます。
続いては中身をチェック。
ドン!
色の濃い部分薄い部分とムラはありますが、この中に蜂蜜がギッシリ詰まってます。
側面から見たところ。二層になってますね。テカり具合がヤバい。
裏返してみました。こちらは蜜が表面に無いので巣の状態が分かりやすい。
本当にハニカム構造になってます。
少し傾いて保存されていたのかもしれない。巣内の蜜が偏ってます。
続いて包丁を入れて巣を真っ二つに割ります。
はい、切れました。全然硬くなかったです。断面はハチミツで真っ黒。
それじゃこれを食べてみましょう…!
トーストに載せて実食!
軽くトーストした6枚切り食パンに載せてみました。
かなり厚みがあってこのままじゃ食べにくいので、さらに半分に蜂の巣をカットします。
厚さを半分にして「開き」にしました。
改めてじっくり見ると…めっちゃ黒いですね。
さっき表面を見た時には偏って蜜が無い部分もあるように見えたんですが、割ってみると蜜はほぼ満遍なく入ってます。
それでは実食!
かじってみると巣は意外と柔らかい。その食感をなるべく近い物で例えるとするなら、ウエハース。
蜂蜜漬けにしたウエハースのようだ。
部分的に結晶化しているところはザラメを噛んでるみたい。ここはジャリジャリしててちょっと甘すぎる。
でも逆にハチミツが液状に保たれている部分はトロリとして食べやすく、濃厚でとっても美味い。
でもね、でも。「蜜はいいとしてもさ、蜂の巣が口の中に残るんじゃあないの!?」って思いません?
ところが!
蜂の巣が何から出来てるのか知らないけど、口の中で自然と溶けていく。
飲み込む時にも喉に引っ掛かりとか全然なし。まるで最初から人間に食べられるために作られたかのよう。
ただ食パンに載せるなら6枚切りよりも4枚切りにすれば良かった。なんせ味が濃厚なんでそっちのが多分バランス良いはず。
結果
15年物の蜂の巣トーストを食べた後、僕のお腹はというと……全然大丈夫でした。
やはりハチミツに賞味期限は無い。糖度と水分保有量的に菌類が繁殖できないから当然といえば当然なんですが、身をもってそれを実証しました。
ちなみにこの蜂の巣。まだあるんで次は何かの料理にでも使ってみようと思いますが、他にいい食べ方のアイデアがあったら教えて下さい。
それではまた!
賞味期限切れシリーズの第1~2弾、及び第4弾はこちらから。
【実験】チョコレートの賞味期限はいつまで?超古い16年物、消費期限切れを食べた結果。
【実験】レトルトカレーは賞味期限切れでも大丈夫?13年後に食べてみた。
【実験】白ワインを開封後一年、常温で置いてたら琥珀色に。飲んでみた!
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