【欧州自転車編02】アテネ出発、内陸の山を越えエーゲ海へ

      2017/06/03

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午後、アテネの空港で預け入れ荷物にしてあったザックと自転車を受け取る。

飛行機での輪行は初めてだったが特に破損もないようで一安心。

 

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出発準備

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空港の建物の隅で自転車をダンボールから出し、六角を使って組み立てていく。

完全防水のパニアバッグを前後に取り付け、ザックをリアキャリアに乗せたら完成だ。

 

そばにいた警察官に「アテネの街へはどっちの道から行けばいいの?」と聞いたら「あっちだ」と指差すので言われた方へ漕ぎ出したが、空港を出てすぐに何車線もある大きな道路に合流した。

これって高速道路なんじゃ…と思いつつも、合流したからには進むしかない。

ビュンビュン飛ばして行く車の脇を大きな荷物を積んで必死に漕いでいたところ、料金所らしきところまで差し掛かったあたりで一台の車が減速して近寄ってきた。

「この道は危ないから俺が安全な道を教えてやるよ、付いてきな」というようなことを英語で言ってくれたその彼に付いていくと、料金所の脇から自転車も通れそうな道の方へ案内してくれた。

 

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3時間ほど走ってなんとかアテネの街に到着。

空港のwifiを使ってweb予約しておいた宿に20時半頃チェックインした。
部屋はもちろんドミトリー、値段は1泊20ユーロ。

自転車は盗まれないよう宿の中に置いてもらった。

 

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少し休憩した後、夜の街を散歩してみる。

アクロポリスの丘に近いおかげか、レストランはどこも沢山の人で溢れていてとても賑やかなエリアだ。

この日はビールとケバブで夕食を済ませ、早めに宿に戻って身体を休めた。

 

アクロポリスの丘へ

今日はこれからの野宿生活で使うバーナー用のガス缶などを探さなくちゃいけないが、せっかく初めて来たアテネなので目の前のアクロポリスの丘にも登ってみることにした。

丘そのものは無料で登れるが、神殿などがある頂上エリアに入るにはチケットを買う必要がある。

さすが世界的な観光地、入場券を販売する窓口は当然のように長蛇の列で20分ほど並ぶ。

 

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有料エリアに入ってみると、まず目に付いたのは立派な石のスタジアム。

さらに登っていくと、

 

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丘の頂上への出入口となっている石柱群。

昔はここにも屋根があったんだろう。

 

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古代ギリシャ建造物の代表格、パルテノン神殿は改修中だったがやはり風格がある。

 

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丘の頂上は結構広い。
他の神殿などや丘からの眺めなど、ゆっくりと見て回る。

 

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その後街へ戻り、ガス缶やライターなどを売っている店を探しつつ歩く。

 

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市場があったのでちょっと寄ってみた。

建物がやはりギリシャっぽい。

 

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白衣が眩しい肉屋のおじさん。

ギリシャ文字なので意味以前にそもそも読めない、発音ができない。

 

この市場と同じ通りでガス缶を売っている店を発見。

値段は500gの缶で3ユーロ。余裕を持って2つ買っておく。

ライターやサングラスなども手に入れ、これで出発の準備は整った。

 

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泊まっていた宿の屋上からはアクロポリスの丘を眺めることができて、夕方になるとそこでバー営業が始まる。

こちらはビール大ジョッキサイズで1杯4ユーロ。
フードは無い代わりに持ち込み自由だ。

同室のドイツ人スティーブと韓国人ヨンミンらメンズ2人と共に、奢り奢られ2時間ばかり楽しく飲んだ。

いよいよ明日は出発の日。

 

初日 - ギリシャ

朝から近所のスーパーに行ってチーズやワイン、粉ミルクなど食料品の買い込み。水は1.5Lで0.28ユーロだった。

チェックアウト時間の11時に部屋を空け、ロビーでパッキング。

wifiが使えるうちにとルートその他いろいろ調べ物をしているとキリがない。

結局出発は14時半になった。

 

まずはE75号線に沿って街中をしばらく北東へ進む。
すると徐々に景色が寂しく変わり、郊外へ出ると途中から山道になった。

登りの多い道をひたすら漕いで漕いで……だがガス欠なのか脚が重くなるのが早く、すぐに疲れてしまう。

なのでこの日は距離を稼ぐのは諦めて休み休み進むことにした。

山の中を乗ったり押したりしながら上り、そろそろ暗くなってきた20時半近くにやっと峠越え。

越えてすぐのところにあった食堂で足りなくなっていた水も買え、そばにベンチやテーブルのあるスペースも発見できたので、今夜はそこを使わせてもらう。

 

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パンにチーズを挟み、紙パックの白ワインで流し込むとすぐに睡魔がやってきた。

 

本日の走行距離 30km
アテネからの合計 30km

 

2日目 - ギリシャ

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6時前に起床。朝は具が玉ねぎだけのいつものパスタを作成。

荷物をまとめ自転車に積んでいる時に、尻への負担を軽減するためにサドルに敷いていたジェルパッドを紛失していることに気付いた。

まだ数日しか使ってなかったのに…残念。

荷物をまとめ直して9:10頃に出発。
今日も引き続きE75号線沿いを、方角は変わり北西に走っていく。

 

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峠を越えた位置からの出発なので出だしは楽々。
多少上りも混じったものの、40分経たずに10km進んだ。

途中で羊飼いならぬ仔ヤギ飼いのおじさんを見かけたり、犬が道路の真ん中で寝転んでいたり。

麓の小さな町の小さな商店で、冷えたオレンジジュース(1.5L、1.8ユーロ)を購入。
暑かったのでめちゃくちゃ美味い。

 

またしばらく走り、その先の町のスーパーで今日の分の食料を買おうとしたが、せっかく坂道を登っていったのになんと昼休憩中

日本では考えられないと思うけど、海外の田舎の方のスーパーはこれが普通らしい。南米チリでも同じようなことがあった。

再開するのは1時間以上先と聞き、時間がもったいないので先へ進むことにした。
坂道を登った労力を返してほしい。

なんて思って急ごうとした瞬間、まさかの初ゴケ!
その勢いでリアキャリアからザックがズリ落ちた。

実はさっきも走行中の小さな段差の衝撃でリアキャリアが外れてザックを落としているので、これで今日2度目のアクシデント。

しかもその際、後輪のパニアバッグに貼っていた2枚の日の丸ステッカーのうちの1枚が、剥がれて飛んでいってしまった。
まだ出発して2日目なのに……油断せずに進まないと。

 

その後さらにしばらく走り、東西南北の道の合流地点にある Thiva という町でやっとスーパーに入ることができた。

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木桶に入った豆腐みたいに見えるこれはチーズ。
もそもそするタイプで僕は口に合わなかった。

購入したのはチーズの他、パン、りんご、ジュース、山羊のミルク、日焼け止めで合わせて約20ユーロ。
うち半分の10ユーロは日焼け止め代。

 

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スーパーの駐車場でさっそく山羊の牛乳を一杯。
りんごも食べて走るためのエネルギーを補給する。

 

さらにまたひた走り日没が近づいてきたが、今日はなかなかテントを張れそうな場所が見当たらない。

そんな中で20:20頃、ソーラーパネルの敷地の脇に人目につかず良さそうな場所を見つけたので、当日の目標にしていた80kmには少し足りない状況だったけれどそこで手を打つことにした。

 

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奥に見えるグレーの板状のものがソーラーパネル。

テントを張って食事をしていたら突然サイレンのような大きな音が響いたので誰かやってきて注意でもされるのかと思ったが、しばらくするとそれも止んでホッと一息。

夜の闇に紛れて眠りについた。

 

本日の走行距離 77km
アテネからの合計 107km

 

3日目 - ギリシャ

今朝は快晴。8時過ぎにスタート。
朝しっかりと食べているのでペースも快調に進んでいく。

 

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今日も気温はかなり高い。推定35℃以上。

 

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ギリシャ内を走っている時に何度もよく見かけた濃いピンクの花。
刺もありちょっと禍々しい感じがする。

 

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休憩含めて4時間弱で40km以上なので、このペースなら今日は100km行けそうかも。なんて思っていたら、途中から前輪がキィキィ鳴って必要以上の負荷がかかっている気がする。

酷暑の中、やっと少し背の高い木を見つけてその木陰で自転車を点検。

たぶん…オイルが足りないのかも。
次の町で探してみよう。

 

ところが。

その次の町までの上りが結構キツく、それもやっとの思いで上ったのに、日曜日ということでガソリンスタンドなどオイルを買えそうな店が軒並み休業していた…!

人もほとんど歩いていない。

それでもやっている店を求めてさらに坂を上がって行くと、急に人のいる通りに差し掛かった。

 

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町の奥まったところにあるメインストリート。
ここまで行くとカフェなどが立ち並びちょっと賑やか。

wifiが使えるカフェがあったので、水分補給しつつネットで調べてみることにした。

このカフェの兄さんがとても親切で、ペットボトルに水を入れてくれた上に町外れのガソリンスタンドなら日曜も開いてるはずだと教えてくれた。

 

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町外れのガソリンスタンドで無事に潤滑油を手に入れ、もう結構いい時間帯ということもあってついでにビールを一杯。

 

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気持ちのいい坂道を下る際、ブレーキの効きが弱くなっていたので目一杯握ったら、レバーを止めていた部品が片方折れてしまった!

はめ直したら一応普通に機能するが…

次の町で自転車屋に行くべきか?
それとも騙し騙しこのまま行ってみるか?

 

20時過ぎ、畑の脇にテントを設営。

空模様が怪しかったので、昨日は暑くて省略していたフライシートもちゃんと張ることにした。

案の定、直後にパラついてきた雨の中、パスタを食べて即就寝。

 

本日の走行距離 76km
アテネからの合計 217km

 

4日目 - ギリシャ

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毎日野宿なので当然のことながらシャワーはない。

着替えても走ればすぐにまた汗だくになるので、次また宿に泊まる時に洗おうと思って着っぱなしだったポロシャツだが、ふと気になって脱いでみたら恐ろしいほど背中が色褪せていた。

8:15頃出発。

今日は山越え。キツい上りを覚悟して漕ぎ進める。

 

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途中の村で見かけた可愛い車。

屋根の部分が切り取られ、丸ごと花壇のようになっている。

 

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休憩なしで山上の村まで到着。スマホのアプリによると標高は550mらしい。

頑張ったのでここで軽く一休み。

 

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そのすぐ先で水汲み場を発見。

通りがかった村のおばさんに身振り手振りで聞いたところ、飲んでも大丈夫なようだ。

ちょうど桶まで置いてあったので、汗で塩まみれになったポロシャツをゴシゴシ手洗いさせてもらった。

 

ギリシャはとても犬が多く、しかも放し飼いの割合が相当高い。

この数日でも何度も吠えられ追いかけられてきたが、この日初めて脚を噛まれた。

歯が触れた程度だったので服も破れず身体的なダメージも無く、そもそも本気じゃなかったのかもしれないが、マジで噛まれたら狂犬病のリスクも出てくるのでシャレにならない。

今後はこれまで以上に気を付けよう。

 

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峠を越えたら後はひたすら下り坂。

ここはかなりそれが長く、Lamia の町まで計15kmは下りが続いた。

 

町のスーパーでトマトにフルーツ、ジュースやチーズ、それにスプーンなどを買って出てきた直後に土砂降りの大雨が降ってきたので、駐車場の一角にある屋根付きの遊び場でなんとか凌ぐ。

横殴りの酷い雨だったけど、屋根が広くて助かった。

 

16時半過ぎにリスタートし、2時間ほど走ってエーゲ海沿いのスティリダという港町に到着。

 

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エーゲ海というと"紺碧の海に降り注ぐ強い日差しと行き交うヨット"のようなイメージを持っていたが、ここは漁港なので当然ながら雰囲気がまったく違う。
港には小さな漁船がいくつも停泊していた。

直後にまた雨が降り出したので、近くのガソリンスタンドでビールを飲みながら雨宿り。

 

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雨上がりの空に鮮やかな虹がかかる。

 

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ガソリンスタンド=bpでビールを飲んでいたら、スタッフ、そして隣の自動車修理店のメンズと仲良くなり、ギリシャ語の単語をいくつか教えてもらった。

乾杯=スティーニィ ヤシュ!
ありがとう=エフカリシト(ゥ)
さようなら=ヤシュ
美味しい=イヌ オレオ or ノスティモ
値段はいくら?=ポショ スティヒジィ

などなど。

 

今夜は雷雨になりそうなので、隣にある建設中の家の屋根を借りて寝かせてもらうことにした。

 

本日の走行距離 57km
アテネからの合計 274km

 

【欧州自転車編03】灼熱のギリシャ縦断、岩山の上の修道院メテオラへ

 

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