【欧州自転車編03】灼熱のギリシャ縦断
2017/05/24
4:20のアラームで起きてみたけれど、まだ真っ暗。
一時間ほどしてやっと少しずつ明るくなってきた。
昨日もお邪魔した隣のガソリンスタンドでトイレを借り、こっちに来て初めて髭も剃った。
さっぱりした状態で7:15スタート。
5日目 - ギリシャ
海沿いの道を走り、2つ隣の小さな町で小休止。
トマトとジュースを買ってエーゲ海の波打ち際でまったり。
その後、平地を走る主要道路と同じ方向に伸びる脇道を進んでいたつもりだったが、いつの間にやら山の方へ。
結果、予定外の坂に体力を奪われつつ山上にある村に到着。
のんびりしている暇はないので道端で小休止。
ギリシャでは小さな村にも必ずカフェがあって、昼間からまったりしている人が多い。
さらにその先もひたすら上りが続き、途中で雨も降ってきた。
リアキャリアに積んでいるザックは、前後に2つずつ取り付けてあるパニアバッグとは違って防水ではないので、雨水の進入を防ぐためザックカバーをかける。
この上りでかなり時間をくってしまったが、14時過ぎに何とか峠を越えるとその先は気持ちいいくらいの長い下り坂。
しばらく下るとアップダウンが交互に繰り返す地形になったが、下りの勢いがあるので少し脚を足してやれば上りもそのまま越えていける。
17時頃にとりあえずの目標としていた町に着き、町外れのbp(ガソリンスタンド)で缶ビールを飲みだしたとたんにまた雨が。しかも今度は土砂降り。
スマホに最初から入っている天気予報アプリは全然アテにならない。
幸い30分ほどで止んだので、wifiを求めて町の中心部へ。
ファストフード的な看板の店で牛肉とライスのプレートのバゲット付き(6.5ユーロ)を食べつつ、メテオラ近くの宿を予約した。
そこまでは距離にして残り約150km。
地図上の目算よりも30kmほど遠かったので、明日の到着は諦め明後日の日付けで押さえる。
その後10kmほど気持ちのいい田園風景の中を走り、高速道路の脇で何とかテントを張る場所を確保。
キツめの坂もあったけど、肉パワーなのか食べた後は脚が動いた。
今後はもっと肉、積極的に食べていこう。
22時ごろ就寝。
本日の走行距離 82km
アテネからの合計 356km
6日目 - ギリシャ
6時半起床。
5時過ぎにアラームが鳴ったんだけど二度寝してしまった。
起きてトイレをしにテントから出る際、大きな蟻が大量に…おそらく千匹以上いることに気付いたが、幸い何故か僕のテントや荷物などには群がっていなかったのでセーフ。
6月のこの時期、日の出以降テント内はすぐに暑くなる。
この前なんかフライシート無しでメッシュのインナーだけでも暑かった。
特に今日は朝からパスタを食べたので熱量がヤバい。
パッキング時にここ数日探していた予備のクレジットカードを発見。
入れた場所を忘れて「もしかしたら落としたんじゃ…」と止めることも考えていたけど、これで一安心。
10時頃に出発し、11時過ぎに5kmほど先の村に到着。
猛暑の中、カフェでスプライトを飲んで一休み。
次の町では小さなスーパーがあったので買い物に寄る。
バナナ、りんご、トマト、牛乳、オレンジジュース、玉ねぎなどを購入。
そしてなんと、スーパーでもガス缶を売っていることを発見した。
どこのスーパーでもってわけじゃないだろうが、これでガスが切れた時も安心だ。
すぐそばの通りに木陰になったベンチがあったので、まだ今日は少ししか走ってないんだけどランチにすることにした。
ここで結構ゆっくりして13時過ぎに再出発。
地図を見るとこの先は上り坂のようだったので、線路を渡って数キロ迂回。1つ外側の幹線道路を走ることにした。
こちらは平坦だけど道幅が狭く、その分ちょっと気を使う道。
ちょいちょい休憩を挟みながら進んでいたが、16時半ごろの休憩でグローブが無いことに気付く…!
指先が出るタイプなのでスマホもそのまま使えて気に入っていたのに…。
さっきの休憩の時にうっかりいつもと違う位置に置いたので、出発時に目に入らずそのまま落としたのかもしれない。
うわー、地味にショックだ。
…と思いながら周囲に目を走らせていたら、なんと!
休憩していた場所のすぐ脇数メートルに、風で飛ばされていたグローブを発見。
同時に安堵感がドッと押し寄せる。
以後休憩終わりにはグローブ、サングラス、ヘルメットの3点セットの確認を徹底することを心に決めた。
18:20頃、とりあえずの目標としていた Larissa(ラリッサ)の街まであと12kmの地点。ガソリンスタンドでドリンク休憩。
ギリシャは日よけ棚に葡萄を使っているところが多い。
その後さらに漕いで20時過ぎにやっとラリッサに到着。
ここは市と表記されているだけあってかなり規模の大きな街だ。
街の中心部にある公園内に雰囲気良さげなタベルナ(?)を見かけたので、そこで夕食を取ることにした。
一般的なボトルより少し小さめな500mlボトルの白ワインにビーフパティ。
これは一見すると水分の抜けたハンバーグのようだが、スパイスが効いていてビールに絶対合うやつ。
付属のパンと追加のソーセージも合わせて6.5ユーロだったので結構安いと思う。
公園では沢山の子供が遊んでいてとても賑やかだったが、さすがに21時を回ると徐々に暗くなってくるので、親に連れられてきてる子以外は少しずつ帰っていった。
街中で寝ると目立つので夜道をまた少し走る。
夜は昼の射すような日差しが無く、気温も低いのでかなり走りやすい。
5kmほど行ったところにあった大きなカーディーラーの敷地内に外から見えない良い場所があったので、寝床として使わせてもらうことにした。芝生がとてもいい感じ。
寝袋だけ広げて寝ようとしていたところ、どこかで野犬の鳴き声が聞こえた。しかもだんだんと接近してくる。
こんな時のためにとこの前拾っておいた大振りの木の枝を手元に引き寄せてしばらく様子を窺っていたが、幸い鳴き声はそのうちに聞こえなくなった。
緊張を解き、寝転がると北斗七星が見えた。
ここは日本と同じ北半球。意味もなくホッとする。
太腿も疲労が溜まってきているので、メテオラに着いたら2泊しっかりと身体を休ませよう。
本日の走行距離 69km
アテネからの合計 425km
で、普通なら朝まで寝て終わりなんだけど、この日は珍しく夜中に目が覚めてなんとなくスマホを弄っていた。
そうしたらなんと…!
暗くて全然気付かなかったが、芝生のそこかしこに設置されていたスプリンクラーからいっせいに水が噴き出した!!
スマホを庇いながら慌てて荷物をまとめ、逃げるように撤収する。
起きていたからまだ服などが多少濡れたぐらいで済んだけど、これがもし完全に寝ている時だったら機器類が全部お亡くなりになっていた可能性だってある。
芝生、恐るべし。
なんとか移動したものの、既に暗い状態だと寝られる場所かどうかの選定が難しいので、結局この晩は少し離れたところのフェンスにもたれかかりながらウトウトして朝を待った。
7日目 - ギリシャ
明るくなるのを待ち、6時前に移動を開始する。
地図上を見ると7kmちょっと先に村があるのでそこで少し休もう。
…と思っていたら、20分ほど漕いだところで廃業したガソリンスタンドを発見。
村よりもこっちの方が気兼ねなくゆっくり寝られそうなので、ロールマットを敷いて小一時間眠らせてもらう。
仮眠後、パンにチーズを挟んで朝食としたが、気温が高いせいかチーズの端の方がすでにカビていた。
ま、そこだけカットすれば問題ない。
数日放っておいたせいで伸び放題だった髭の手入れをし、9時半ごろリスタート。
自動車道を走ったので日除けになるような木も一切生えておらず路肩でも休めなかったが、ノンストップで走ったおかげで一時間で約20km進むことができた。
進捗が良かったので、途中の町でご褒美のドリンク類を購入。
ちなみにここは500mlの Pils が0.78ユーロ(100円弱)と缶ビールがとても安かった。
教会前のベンチでドリンクを飲んでいると、建物の上に鶴のような首と嘴の長い鳥の巣があるのを見つけた。
巣の天辺に見えるのがその鳥。
他にも鳩やら雀なんかが巣の下の方で仲良く出入していた。
次の大きな街、トリカラへはあと26km。
ここからは側道を走っていたが、途中いつの間にか道は未舗装の砂利道に。
そしてある牧場の近くに差し掛かったところ、
突如、猛ダッシュしてきた3匹の犬に追い立てられた!
狂ったように吠え続ける声を背に全力でペダルを踏みまくり、30km/hぐらいまで加速して何とか犬を引き離す。
ただでさえスピードの出にくい砂利道。
地面の凹凸でもしタイヤが滑ったりしたらその時点でアウト。
細心の注意を払いつつも、完全に振り切ったと確信できるところまでひたすらMAXで走り続けた。
犬は狂犬病の可能性もあるので本当にリスキー。
地べたに座って休憩している最中に見かけた大量の藁を積んだ車。
通り過ぎる際にこちらを見つけ手を振ってくれた。
15時半ごろトリカラの町に到着。
ドラッグストアの軒先にある電光板を見ると今の気温は32℃。
公園の池では上半身裸の少年たちが繰り返し水に飛び込んでいる。
そこにあった小便小僧は両手を腰に当てて胸を張り、何だか誇らしげだった。
木陰のベンチに座り、今持っている牛乳はもう飲み切ってしまおうとバッグから取り出してみたところ、なんとどろっどろのヨーグルト状に。
今朝飲んだときには普通だったと思うんだけど…。
さすがの僕もこれは飲むのを控えておいた。
一時間ちょいの休憩後に再出発。
ここから今日の目的地カランバカ(メテオラの最寄りの町)までは約20km。
町を出る時にもう一度薬屋の電光板を見ると、なんと40℃と表示されていた。
正確じゃないのかもしれないが、アスファルトのそばということを考えたらそれぐらいあってもおかしくない。
そう思えるほどの灼熱の太陽光。
ジリジリとその光にハンドルを握る腕を焼かれながら、カランバカに向かう緩やかな上り坂を少しずつ登っていく。
休憩なしで20km、このまま行くのはマズい。
光を遮るもの1つ見当たらないアスファルトの上を走りながら多少の危機感を感じていたその時、砂漠のオアシスよろしく一軒のガソリンスタンドが目に飛び込んできた。
すぐさまその屋根の下にアクロポリス号を停め、冷房の効いた店内に駆け込んで買ったのがこれ。
普段日本ではあまりジュース類を買わないので僕が知らなかっただけかもしれないが、こんな真っ黒なコーラの缶は初めて見た。
喉を刺激しながら火照った身体の奥に滑り込んでくる炭酸の美味さは言葉では言い表せないほど格別!
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