【北海道一周ヒッチ10】江差のちょっと長い夜。ベンチで寝てたら女子に囲まれた。
2018/04/15
ここまで乗せてくれた人の車を手を振って見送る。
江差。ここは明治初期に当時国内最高の洋式軍艦といわれた「開陽丸」が沈んだ場所。沈没場所の近くには、新撰組の土方歳三が拳を叩きつけて悔しがったという嘆きの松が今も残る。
そしてまた、民謡「江差追分け(えさしおいわけ)」で有名な町でもある。
復元された原寸大の開陽丸があるということで、町に着くとまずはそれを見に行った。
江差の開陽丸
開陽丸は江戸幕府がオランダに発注して造らせた木造軍艦で、当時最新鋭の主砲・16cmクルップ砲をはじめ26門の大砲を備えている。その射程は4km。
遠くからでもはっきり見えるほど。かなりデカい。
全長72.8m、排水量2,590トン、乗員数は350~500名程とかなりの大型帆船だ。船の内部が資料館のようになっていて、江差沖の海底から引き上げられた3,000点あまりの遺物などが展示されている。
< 開陽丸記念館 >
- 営業時間:9:00~17:00
- 定休日:4~10月は無休、11~3月は月曜日と祝翌日
- 料金:大人500円、小中高生250円、小学生未満は無料
- 電話:0139-52-5522
土方歳三や榎本武明になれる?コスプレ貸衣装あり。1着200円。
船の向かいの三角屋根の建物には海の駅・開陽丸と書かれている。こちらは入場料不要のようだ。
中に入ってみる。平日の夕方前だからか人は少なかったが、展示されている開陽丸の資料を見ていると地元の人らしき女性に「一人で旅行ですか?」声をかけられた。
ヒッチハイクで旅していることを話すと結構喰いついてくれる。盛り上がりついでに乗せてもらえるか聞いてみたんだけど、この人は残念ながら逆方向。惜しい。
そろそろ薄暗くなって次の車をヒッチするのが難しくなってきたので、野宿も覚悟してスタッフの人に近くの公園とご飯屋の場所を聞いておく。
おじさん達と
一応国道沿いでヒッチしてみるが反応は良くない。
そんな中ふと目に入ったのがコンビニの隣の不思議な部屋。
扉が開けられているので中を覗くと、イスやテーブル、さらにはソファやマッサージ機まである。
入口に書いてある文によると、どうやら隣のコンビニで食品やドリンクを買った人がここでゆっくりくつろぐためのイートイン的なスペースらしい。
現状誰もいないのでくつろがせてもらうことにした。ここが使えれば今日は「下が硬くないところ」で寝ることができる。
喜んだのもつかの間、よく見ると午後8時で閉まってしまうらしい…残念。
しばらくマッサージ機を使ったり日記を書いたりして過ごしていると、そこへ地元のおじさんたちがやってきた。隣りの席に座り、持ち寄った酒とツマミで楽しそうに話している。
しばらくして数人が帰り、残ったのは共に定年で釣り仲間なおじさん2人。
この2人のおじさんたちとふとしたきっかけで話が盛り上がり「このままどっか飲みに行こう!」という話になった。
町のメインストリート。飲み屋も何軒かあるのが見える…が、まだ午後8時だというのにやっている店は数少ない。
おじさんたちは普段あまり店には飲みに行かないようで、特に行きつけの店などは無い様子。適当に角の大衆酒場的な店を選んだので一緒に入る。
扉を開けるとお客はおらず、店の大将と奥さんがくつろいでいた。
「いけますか?」と聞くと若干微妙な表情…? 一瞬間があったがそのまま席に着いた。
問題はここから。
注文は忘れるわ、話しかけても答えない(聞いてない)わ、当然愛想もゼロ。さすがちょっとあり得ないレベル。
内心相当イラついたが、この町に住んでるおじさんたちの立場も考えグッと我慢。……我慢はしたが本当に酷かった。
接客業の人間として、いや普通に人として明らかにあり得ない態度。
おじさんが俺に申し訳なさそうに言った「ごめんな」という言葉が少し寂しかった。
店を出ておじさんと別れた後、さっき資料館の人に聞いておいた公園にでも行こうかと思ったが、いまいち方向がわからない。酔いも手伝って面倒くさくなり、目の前にあったバス停のベンチで寝てしまった。
深夜のバス停で
…深夜、近くで数人の女の話し声がする。
俺の荷物とスケッチブックを見て、何やら話しているようだ。
「ヒッチハイクってやつ?」
「宮城って書いてあるよ。宮城に行きたいのかな?」
「えー、ここから?宮城は無理じゃない?」
「いや、宮城から来たんじゃない?」
どうやらザックに立てかけていたスケッチブックが、風かなにかでめくれて「宮城」と書いたページが一番前になっていたらしい。
眠いし放っておこうと思っていたが、なかなか去る様子が無いんでだんだん目が覚めてきた。
仕方ない。寝袋の中から宮城ではなく大阪から来たことを説明する。
ヒッチで北海道を回っていることを告げると大きなリアクション。
そこからだんだん話が弾み、本日2回目の飲みのお誘いをいただいた。
寝ている途中だったんで少し迷ったが、行き先が決め手になった。
それはなんとボーイズバー。
そう、
彼女らはそこに行く途中、ベンチで寝ている俺を見つけたらしい。
夜8時でたいがいの店が閉まってしまうようなこの町に、まさかそんな店があったとは…。正直ビックリした。面白そうなのでこれはぜひ行ってみよう。
さっそく荷物をまとめるとバス停を後にする。
4人組の女子と一緒にザックを背負って歩くことほんの数分、暗い通りを曲がった先にその店はあった。
…本当だ。ボーイズバーだ。こんな小さな町にあるとは思わなかった。(失礼)
彼女らの後に続いて入る俺に突き刺さる視線が痛い。
そりゃそうだ。
よそモンでしかも男がボーイズバーに来るだけでも珍しいのに、デカいザック担いだまま入ってくるんだから。
後で分かったんだけど、この店は彼女たちの同級生がやってる店でみんな昔からの知り合いらしい。結局朝までそこで飲んで、店を出たのは明け方ごろ。
4人組の一人の実家がすぐ近くなのでみんなで仮眠しに行くことになり、俺も一緒に眠らせてもらった。
ベンチで野宿していたはずが、畳に布団とシャワーまで。これがあるから旅は、ヒッチは面白い。
【今日の移動距離】
函館→江差 約155km
【北海道一周ヒッチ11】ありがとう、そしてゴメンなさい。へ続く
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