霊能者が告白した、心霊現象(スピリチュアル)の嘘とトリック。

      2019/02/20

believer15

アメリカの大物霊能者自身による暴露本「サイキック・マフィア」で明かされた嘘とトリックの数々。

非常に興味深い内容なので、このページで共有します。



霊能力者には2種類いる

アメリカで有数の規模の心霊協会理事まで務めた霊能者であり、著者のラマー・キーンは言った。

いわゆる占い師、霊能者、超能力者、予言者、スピリチュアリストなどの特別な能力(占いは学問や統計、技術と称することもあるが)を持つとされる人たちは、大きく分けて2種類いる。

それは「眠っているタイプ」と「目覚めているタイプ」だと。

 

眠っているタイプ

眠っているタイプとは、本気で自分には特別な力があると信じているタイプ。

例えば…自分は占いで未来を予知することができる、人のオーラを視ることができる、霊界からの波動を感じることができる、と純粋に信じて活動している人々。

このタイプは特に害も無いので、業界の片隅をうろつくことを許されていることが多い。

 

目覚めているタイプ

それに対して目覚めているタイプは単純明快。

自分たちがイカサマ師、詐欺師であることを自認しつつ霊能者を演じている人々。

大金を得ているのはこのタイプ。

 

ラマーキーンの場合

著者たちは当初、ちょうどその中間。半分だけ目覚めているタイプだった。

この業界にイカサマを使う霊能者がいるのは知っていたが、同時に本物の霊能者もいると信じていた。

そして自分たちは本当に霊的な能力を秘めているはずだとも信じていた。

なので霊視専門の能力者として開業し、トリックで物質的な現象を起してみせるイカサマ霊能者を見下していた。

たがすぐに現実にブチ当たる。

お客は目に見える奇跡を欲していた。

そして当初軽蔑していたイカサマ…エクトプラズムの実体化や霊の声を聞かせるトランペットの実演に至るまで、そう時間はかからなかった。

儲けが圧倒的に違うのだ。

 

心霊トリックの数々

筆者のラマー・キーン自身や、その当時の他の霊能者(スピリチュアリスト)たちが実際に行っていた内容とその手口。

 

霊によるカード書記

参加者にはあらかじめ一枚のカードを渡し、そこに自分のサインをしてもらう。

それを回収し、室内中央にあるテーブルに伏せて置き、部屋を暗くして全員で賛美歌を歌った後に確認してみると、それぞれに霊からのメッセージ(聖書の一節や詩、個人的な思い出話など)が書かれているというもの。

そのトリックの手法は…

彼らのやり方は2種類あり、部屋が暗くなっている間に助手などの協力者がそのカードを持ち出し、メッセージを書き加えてから素知らぬ顔で戻す方法。

そして、あらかじめサインを真似した別のカード(もちろんメッセージも書いてある)を参加者が置いたカードとスリ替える方法。

 

カード透視

例えば目隠しをした状態で、手渡されたカードの記号を透視するというもの。

このトリックは非常に単純。手に持ったカードを身体に近づけて鼻の隙間からチラッと覗くだけなのに、見る側は勝手に超常的な力で透視をしたと勝手に驚いてくれて効果抜群だったそうだ。

この他にも、ワンアヘッドメソッド(先取り方式)などのやり方がある。

 

死者のトランペット

これはトランペットを通じて霊の声を拡大することで、亡くなった親しい人たちと会話が出来る、というもの。ラマーの最も得意としたものの1つ。

もちろん霊が出しているとされる声は、本当はラマーの声。

そのトリックの手法は…

信者の目の前に置かれているトランペットとは別にもう1つトランペットを用意し、それを使って喋るだけ。

薄暗い交霊室の中、このトランペットは黒く塗られているので目には見えない。

全身真っ黒の布を被ったラマーは信者のすぐ近くまで行き、トランペット使って話すと、その振動が見えている方のトランペットを震わせて、あたかもそこから声が出ているように感じさせる。

それをトリックだと疑うある科学者と対決した際には、触ったらすぐ分かるようにトランペットに粉をまぶされた。

注意深い相手なので念を入れて黒いトランペットは使わず、交霊室には代わりに厚紙を持ち込む。それを丸めた即席メガホンで喋ったが、もちろんバレることは無かった。

 

物品引き寄せ(アポーツ)現象

何も無いはずのところから品物が突如として現れる。インドのサイババもやっていたアレ。

インパクトがあって相手を驚かせやすい奇跡だが、もちろんちゃんとタネがある。

そのトリックの手法は…

サイババは手から灰を出していたが、あれはあらかじめ水分を加え団子状に丸めておいた灰を乾かして手中に隠し、それを指ですり潰して聖灰と称しているだけだったと後にバレている。

アメリカでは様々な品物を出すのが流行っていたが、(後述するある方法で手に入れた)信者本人の小物類を出すのが一番ウケたという。

それらの出現状況は、真っ暗になっていた交霊室に再び灯りがついた時だったり、カットしたケーキの中から出てきたりといろんなパターンを駆使していた。

信者は一ヶ月も前にラマーがそれを手に入れていたことにも気付かず、「まぁ!これは今朝まで確かに家の引き出しにあったネックレスよ!」なんて驚き、そして感激する。

人間の記憶がいかにあいまいなものか、よく分かる事例だ。

 

未来予知

道具もたいした準備も要らず、非常に簡単なのがこの未来予知。

ラマーたちは毎日のように信者に個人的な予言をしていたし、毎年一年の始めには大勢を集めて予言を披露するパーティも開いていた。

そのトリックの手法は…

実際は既知の事実から常識的な予測をしているだけ。

ただし予測が外れた時の為にいくつも言い訳を用意していた。

例えば「波動が変わった」とか、「人々の祈りが警告した悪い事象の発生を未然に防いだ」とか。

しかしそもそも現在の状態を基にした予測なので、意外と当たることも多かった。

実際ラマーは大統領選の勝者も当てたし、ある年に起きたカリフォルニアの地震と大火事も的中させた。

コツとしては過去のデータをふまえた上で、予言にある程度の幅を持たせること。

例えば「今年、カリフォルニアで大きな火事が起こるだろう」といっておけば、必ず的中する。

なぜならカリフォルニアでは毎年大規模な山火事が起きているんだから。

 

エクトプラズム

エクトプラズムとは視覚的に見える状態の霊魂や幽体のことで、霊媒師の鼻や口を通って身体から出てくると信じられていた。

体外へ出た幽体は非常にデリケートな物なので、原則としてエクトプラズムには決して触れてはいけない。

建前としては、触れてしまうと本体である霊媒師は内臓を鞭で叩かれるような大きな衝撃を受け、大怪我を負ってしまうから…ということになっていたが、本当の理由はもちろんバレるから。

そして好奇心から、または悪意から触れたりすることがないように、必ずすぐ傍に助手が控えることになっていた。

そのトリックの手法は…

エクトプラズムを出現させる時には、必ず部屋の電気を消して真っ暗にする。

光沢のない黒い衣装を着ている霊媒師はこれで周囲の人間から見えなくなる。これはマジシャンがブラックアートと呼んでいる技法。

次に薄く柔らかい布(シフォン)を小さく丸めたものを取り出し、徐々に広げ、それで身体を覆っていく。信者にはこれが霊的現象に見える。

エクトプラズムの小さな玉が揺れながら少しずつ大きくなり、最後には完全に物質化して人型となる様は、文字で書くとかなり胡散臭いが、実際にその場で見ると非常に神秘的で説得力あるものらしい。

実演の前にボディチェックを受けるような場面でこれを披露することもあったが、そもそも一般人はこの布がどれだけ小さく圧縮できるかを理解していない。

何メートルもの布でも、小さく丸めて下着の中へいれておけばバレることはないし、もっと厳格に疑われている時でも下腹部にある人体の穴の中へコンドームを被せて入れておけば大丈夫。

 

空中浮遊

教会で列席している信者が椅子ごとフワリと浮き上がる現象。

そのトリックの手法は…

その現象は完全な暗闇となる部屋でだけ起こる。そしてラマーとラウールは身体を鍛えていたこともあって非常に力が強かった。なので単純に椅子ごと持ち上げる、ただそれだけ。

女性なら椅子の重量を入れてもせいぜい70~80kg。2人がかりで椅子の脚を持ち、ゆっくりと天井近くまで上げることは彼らにとって容易いことだった。

 

 

よく出来てるなと思うのもあれば、こんなのに騙されるのかというものもあるが、時代も文化も違えばそれも当然。

要はいかに霊の実在を信じさせるかの問題で、それさえ出来たら後はいくらでもやりようがある。

 



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信じる側の心理

交霊会の参加者たちっていうのは元々こういった超常的な力に興味があり、そして常識を超越した力があることを信じたい人たちであることが多い。

また「自分がこの目で見たものしか信じない」なんて人ほど、目の前で実演されるとコロッと信じてしまう。

そして霊視でも予言でも物品引き寄せでも、1つでも信じてしまったら後は簡単。一度信じた人は他の能力もすべて本物だと思ってくれる。

本物の能力を持っている人が、わざわざイカサマをする必要性は無いんじゃないかと勝手に考えてくれるから。

当時ラマーたちが見せていた霊的現象はそのすべてがイカサマやトリックだったんだけれども、彼らにとって人を騙すなんてことはごく簡単なことであり、そして日常的なことだった。

 

騙す為にここまでやる

当時アメリカでよく行われていた手法として、顧客データのファイル化というのがある。

何度も通って来てくれる相手であれば、その度に会話の端々から収集した情報を詳細に書きとめておく。そして相手がそれを話したことを忘れた頃(これが実際よく忘れるらしい)に、さも霊的能力で察知したかのように本人に伝える。

すると、相手はやはりこの人はすごい能力者だと驚き、より信頼してくれるようになる…というもの。

 

これはある意味几帳面な努力の積み重ねなわけで、霊的な力で知ったという部分はウソだけれども、そこまで悪質というほどでもない。

しかし彼らはもっと犯罪的なことも日常的に行っていた。

それは窃盗。信者が目を閉じて祈りをささげている最中や交霊室の暗闇の中で、自分たち霊能者は信者の荷物をあさり、身分証や小物などを掠め取っていたとラマーは告白している。

掠め取ったものから個人情報を得てすぐに返しておくこともあれば、しばらく間を空けてから物品引き寄せ能力で出現させたように見せかけて返してやると、皆驚きの表情を浮かべて感激するらしい…。

 

さらに驚くべきなのはこの先。

全米各地で頻繁に開催される交霊会。その参加者たちはより良い霊能者を求めて他地域の交霊会に遠征することも多かった。

で、こういった時のために裏では霊能者同士の大規模なネットワークが張り巡らされていて、全米はおろか一部の外国まで含むほどの範囲で互いに情報交換をしていたという。

例えばアメリカ西海岸に住んでいる客が、大陸の反対側、数千キロ離れた東海岸の初めて来た町で相談した霊能者にピタリとすべてを当てられてしまう…

なんてことが実際に起こるのも、その情報交換の賜物。

 

ちなみにこれは1960年代の話。

インターネットが発達した今なら、当時よりはるかに詳細で膨大な個人データが蓄積されているはずで、それが全世界的な規模で簡単に送受信できてしまう。

特に近年はSNSが流行ったことで個人的な出来事を自分から発信している人も多いので、ちょっと検索するだけでもかなりの精度の情報が集まってしまうケースが非常に多い。

霊の力とプロの詐欺師の情報収集力、どちらを信じるかはあなた次第。



おまけ

今回この記事を書くに当たって「霊感」「守護霊」「スピリチュアル」なんて単語で検索してみたら、本物の霊能者の見分け方について解説しているサイトを山ほど発見。

それぞれもっともらしい理屈を述べてるけど、それらのほとんど全てはスピリチュアルの世界に蔓延する嘘やニセモノをバッサリ斬るフリをしつつ、「だけど、自分を含む一部の人の能力は本物です」って言ってるか、または「僕はホンモノを知ってます」って言って別のサイトに誘導しようとしてるか。

前者の場合は単純に自分の信者を増やしたいだけだし、後者の場合は誘導することでもらえるお金目当て。

そもそもこの「見分け方」っていうのがすでに言葉のトリック。

そう言われると膨大な「石ころ」の山の中にごくわずかの「ダイヤモンド」が隠れてるようなイメージを持ちやすいけれど、実際はすべて石ころなんだよね…。

その根拠はこちらのページで。

有名霊能者による業界告発本!サイキック・マフィアの内容とレビュー。

それではまた次回。

 

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